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第37期女流名人戦第二局 [将棋]

里見女流名人の先勝で迎えた今期女流名人戦の第二局。本局は千葉県野田市の関根名人記念館で行われました。近くに住んでいるので解説会に行きたかったのですが、仕事が忙しいのと、体調があまり良くなかったので、自重し、自宅でネット観戦にしました(>_<)

詳細は、中継ページをご覧ください。

里見女流名人が後手番の本局は、序盤から尋常でない立ち上がりになりました。

▲7六歩、△3四歩、▲6八玉と先手の清水女流六段は、ゴキゲン拒否の出だし。ここで、△5四歩と突くと、角交換後に▲5三角と打たれて馬を作るのが受からない。また、△5五角などの切り返しが効けば良いんだけど、▲7七桂で受かるのが6八玉型の意味・・・というわけで、先手良しが常識(だった)。しかし、本局は、堂々と△5四歩!!!

本当に先手よしかどうか試してみる?・・・と言うことらしい。実は、この破天荒な出だしは、前例があり、里見女流名人はそれを軸に研究してきているということなんでしょう。しかし、とんでもない大乱戦になるので、いきなりタイトル戦にぶつけてくるとは・・・という感じ。若い&熱い!

清水女流六段は、考慮の末、まあまあと▲2六歩の穏便策。というわけで、本局は後手の主張が通った。

結局、ゴキゲンvs超速の形に進行。

21手目▲7七角は比較的珍しい形。▲5八金右も少し早めだったので、「?」と思ってはいたけど、超速系の急戦と見せかけて持久戦を目指すというフェイント作戦のようだ。

それに対して、後手はいきなり△5六歩と突っかけた。新手らしいけど、第一感こう行きたくなる感じもあるので、さほどの驚きはないかも。▲同歩、△同飛、▲2四歩から大乱戦になりそうだけど、この変化は、7七角の一手があまり役に立たない。

そうは言っても乱戦の可能性もあったけど、清水女流六段はじっと、▲6八銀。血気盛んな里見女流名人に対して、大人の対応で押さえ込もうとしているようだ。結果的には、これが好判断で、ここでの△5六歩は成立していない可能性が高い。

その後、陣形整備に入り、27手目▲6八金寄~▲5八飛が機敏な構想で、中央での勢力比で先手が上まわった。35手目▲5五歩で、5筋の押さえ込みが確定し、少し先手がやりやすい展開になったか。

後手は、主導権は握られたものの、カウンター狙いの振り飛車らしい構えでチャンスを待つ。

39手目▲4五桂から開戦。昼休開け、▲5四歩で飛車を呼び寄せて、▲5五銀右!まさしく5五は天王山とばかりに正面からの大激戦が始まった。

対して、後手は44手目、△5五同飛!これぞイナズマという過激な一手。▲同銀、△5七歩、▲同飛に、当然△6五桂の飛角両取り~と思ったらそうではなく、△5六歩~△4五銀を選んだ。△6五桂だと、▲5九飛、△7七桂成、▲同桂のときに、(1)△5五銀だと▲5三桂不成、(2)△4五銀だと▲6四銀などの展開を気にしたのでしょうか。現状では、後手陣に飛車の打ち込みの隙はないので、局面をスローダウンさせて、駒得の価値を高めようという大局観かな。しかし、本局の展開も歩切れになるので一概に後手良しとも言い難い。

とりあえず、▲6四銀が来ないようにしないといけないので、52手目△8五桂~△8四桂として▲8六飛を強要し、△3六銀と一歩補充して手を渡した。

ここで、先手は▲6四銀と行けるのかどうか?一歩補充した効果で、どこかで△6三歩とか自陣に手を入れるような手が発生しているが、それがどれほどのものか。

結局、先手は自重して、▲6六銀。そこで、すかさず△5二金左と活用して、さんざん危険な筋はあったものの意外に落ち着いてきた。

ただし、ここで手番なので、先手やや良しな感じか。先手は第二弾の攻撃を開始。さっき自重したので、自陣の不安は比較的少ない。・・・とはいえ、船囲いと美濃囲いの差は意外と大きいので、失敗すると逆転の恐れもあり、怖いところだ。

先手が、59手目▲5三歩や、65手目▲9四歩などきつい手を放ってくるのに対して、後手は、悠々と62手目△4四角、66手目△4七銀成などとしている。これで間に合っているのであれば、名人の懐の深さということになるが・・・。

67手目▲8五飛は決断の一手。ここはいろいろありそうなところだけに迷うところだ。次の△7六桂に対して、▲9七角とかわしたのが自然なようで、いまいちだったようだ。働いていない角と急所の桂馬の交換なら望むところという考え方の方が良かったようだ。ただ、優勢を意識していたと思うので、そこまで踏み込まないといけないのか・・・というところもあったと思う。実際には、そこまで形勢は離れていなかったようだ。

結局、74手目△6五銀が激痛。こうなるんなら飛車は4四の角と換えておいた方が良かったか。このあたりから、局面全体がすべて後手の都合が良い配置に見えてくる。どうも筋に入ってしまったようだ。

80手目△8四銀も飛車を渡せないのを見越した好守。結局、88手目で左桂まで働いてきて、飛車角交換にも成功。先手玉は飛車に弱い形で、受けにくい。94手目△9四香は勝利宣言。・・・こういう手を指されるのは精神的に堪えそうだ(^^;)さらに、安全運転で、絶対負けない手を指す若き名人。こういう辛い勝ち方ができるようになったのが、最近の里見女流名人の驚異的な成績の源のような気がする。

102手目△9七金から、いよいよ決めに行く。先手の大駒が変なところにいっぱい利いているので少し分かりにくいけど、ばらばらにして行けば寄っているようだ。最後は即詰みコースに入って、まもなく先手投了。

これで里見女流名人の二連勝。

本局も第一局に続いて、女流名人のちょっと欲張った指し方をとがめ、中盤は挑戦者の方が優勢に。しかし、里見女流名人も怪しげな手を繰り出しつつ、ワンチャンスを狙い続けた。そして、終盤の入り口当たりで一手の緩手を捉え、ひっくり返してしまった。そして優勢になってからは、寄せ付けない指し回しで、里見女流名人の終盤力が光った。自玉を安全にしながら、敵玉を削っていくのがうまいというかからいというか。挑戦者は第一局に続いて、優勢な将棋を落としてしまい、カド番に追い込まれてしまった。

とはいえ、そこは百戦錬磨の清水女流六段。実際、終始やられっぱなしというわけではなく、優勢な時間帯もあったわけで、チャンスは大いに残っていると見るべきでしょう。あえて言うと、持ち時間の差が途中から開いてしまっているのが、気になる。いくら中盤で時間を使っても、里見女流名人に対して、終盤に時間が要らないほど圧倒的優勢を築くことは難しい。やはり、里見女流名人と終盤を戦い抜くには、むしろ挑戦者側の方が、持ち時間多めで突入しないとダメだと思う。そもそも一般論として終盤は若い方が有利。ましてや里見女流名人の終盤力は有名なわけだし。そして、将棋は最後に悪い手を指した方が負ける。・・・ということで、第三局は持ち時間の使い方にも注目したいですね。

里見女流名人は、確かに序盤・中盤は欲張りすぎて少し危なっかしいところもあるけど、しかし、そのあと、離されないようについて行ってワンチャンスで十分ひっくり返せるという自信があっての意欲的な指し回しだと思うので、とりあえずしばらくはこういう指方が続くだろうなと予想。いろいろ試しながら、最後は結局なんだかんだと豪腕で持って行くというようなのも若きタイトルホルダーらしくて良いと思う。観戦していてもハラハラドキドキで面白いしね。

次局も熱戦に期待。


おおきな森のどうぶつしょうぎ [将棋]

昨年末に購入した「おおきな森のどうぶつしょうぎ」について。

ルールは本将棋と同じだけど、駒がかわいいどうぶつでできている・・・というもの。まずは、初期配置の盤面から。

initial.gif

これを見れば、将棋をやったことある人なら、どの駒がどう置き換わっているのか一目瞭然だと思いますが、さらによく見ると、駒に利きが書いてあるという親切設計です。駒のイメージも結構面白い。

玉→ライオン:百獣の王だし、まあ当然。
金→イヌ:忠実そう?
銀→ネコ:攻め込んだり、家の守りについたり、自由気ままに行ったり来たりな感じ。
桂→ウサギ:ぴょんぴょん!
香→イノシシ:曲がれない(^_^;)
歩→ヒヨコ:よちよち一歩ずつ。
飛→キリン:これはよく分からない。見通しがいい?
角→ゾウ:同じくよく分からない。でも頭が丸い感じが出てる?
と→ニワトリ:ヒヨコが成長したら当然。しかしイヌと同じ強さ。・・・軍鶏なら小さい犬種とは互角かも?
他の成駒は餌をゲットするのみ。

さて、ここで、どうぶつ将棋で、本将棋の定跡局面を見てみましょう。

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角換わり腰掛け銀・・・もとい象換わり腰掛け猫(笑)先後同型。

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ゴキゲン中キリンvs超速猫。

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矢倉F6猫G7兎戦法。

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横ヒヨコ取りB5キリン戦法。


・・・どうでしたか?緊迫した仕掛けの局面もどうぶつ将棋なら、なんとなくほんわかした感じですね。

あと、思うんだけど、どうぶつ将棋だと、駒を見慣れてないせいで、局面の認識が著しく遅くなる気がする。みなさんはどうでした?

本将棋だと、ほぼ無意識のうちに局面認識が終了するんだけど、どうぶつ将棋だと意識下で確認しないといけない感じ。ぱっと見たときにどうなっているのか全く認識できないんだよね。結果的に、局面の把握に本将棋の倍はかかる気がする。局面の認識は図形判断に似ている・・・と、どこかで聞いたような覚えがあるけど、確かにな~と思いました。駒が違うだけで、こうも違うとは。もちろん駒の対応も、全部覚えてるんだけど、たぶんそういう理屈の部分ではなく、感覚的な部分での慣れによるチューニングが重要ってことなんだね。

どうぶつ将棋の駒で、本将棋の局面を作ってプロに見せて、MRI取ったら、どういう反応になっているのか知りたいな~なんて思ったりして。プロだとあっという間に順応して本将棋と同じように反応するのか、それともプロだけにデザインに著しく阻害されまくるのかとかね。何となく前者なのではないかという気がするのは、初型配置のときは、水琴も認識が阻害されなかったような気がするから。つまり、初型だと、どうぶつ将棋であってもひと目で局面の感覚が呼び起こされた。ということは、究極的には、駒自体のデザインよりも「将棋の形」に並んでいるかどうかの方が、優先されるんだと思う。手を進めて定跡型になったときに認識が阻害されてくるのは、たぶん水琴の「将棋の形」に対する親しみ度がまだまだ低いからなのではないかと思う。

これは、結果がどう出るにしても結構示唆に富んだ面白い実験なんではないかな~。是非、次はこれを研究してみて欲しいなあ。

あ、そうそう。別に回し者でもなんでもないのですが、「おおきな森のどうぶつしょうぎ」はねこまどの商品ですので、思わず欲しくなってしまった方はそちらへどうぞ。


二手目△8四歩問題の謎 [将棋]

ここのところ、アマチュア将棋ファンの間でも二手目△8四歩問題というのが話題になっている。

初手、▲7六歩に対して、後手が二手目に△8四歩と突きづらい・・・という話。三手目が▲6八銀なら相矢倉になり、後手も十分戦えるんだけど、たとえば、三手目に▲2六歩だと、△3二金、▲7八金、△8五歩、▲7七角、△3四歩から正調角換わりになり、あまり後手の勝率が良くない。よって、角換わりに自信がないと二手目△8四歩とできない~という話。で、二手目△8四歩とできないとすると、矢倉になりにくいので矢倉が減っていると。

ただ、個人的にはさほどのことなのか?・・・と思う。仮に角換わりが嫌ならば、4手目からでも△3四歩とすれば、横歩取りにも一手損角換わりにもできる。そういうわけで、2手目△8四歩問題を正調角換わりだけの責任にするのはいかがかと。確かに横歩取りや一手損角換わりにしたいなら、二手目△3四歩のほうが確実で自然というのはあるけど、ほとんど気分の問題で、二手目△8四歩から合流したって数学的には何の問題もないはず。

結局、相居飛車系ならば、正調角換わり、一手損角換わり、横歩取りのいずれかの後手勝率が高くなれば、矢倉が復活してくるんじゃないかと思う。もちろん個人的には角換わり腰掛け銀先後同型の後手番は好きな形の一つなので、肩入れしてますが(^^;)

ただし、先手ゴキゲンが嫌な場合、三手目▲5六歩としてきそうな相手に対しては、二手目△8四歩とはしにくいということはあるかもしれない。こちらは、気分の問題ではなく実際に作戦に影響が出る。・・・とはいえ、一局は一局だと思うんだよね。少なくとも角換わり腰掛け銀先後同型よりは気楽だと思ってる人が多いんじゃないかな。

う~ん。なんで、こんなに問題ってことになってるんだろう?

水琴も、もっと強くなったら分かるようになるのかしらん?


タグ:将棋

未必の殺意 [夜話]

少し前のニュースだけど、奈良県で2003年に車上狙いの犯人に警官が発砲し、犯人が死亡した事件について、殺人罪で審理するということになったらしい。

かなり古い事件で、おそらく当初はあまり注目されていなかったのか、詳細がいまいち分からない。概略としては、車で逃走していた犯人を交差点で取り囲んだところ、車を前後に急発進させ、周囲に衝突を繰り返して危険だったため、やむを得ず発砲した。そうしたら、当たり所が悪く死亡したということのようだ。

車上狙いでは捕まっても死刑にはならないので、何も殺すこと無いだろう・・・というご遺族の感情も分からなくはないが、しかし、本件は結論としては無罪になるだろう。そもそも、最初に不起訴処分となった案件であるし、民事訴訟でも正当防衛として無罪になっている。つまり、発砲自体が業務上正当と見なされる状況下で行われたということは、すでに確定していると思われる。

無抵抗の犯人に発砲したり、無警告で発砲したりしたのであれば問題だが、そういう事実があれば、すでに裁判で取り上げられているはずだ。どうやら、今回もそういう争点は無いようなので、結論はやはり同じだろう。かなり危険な逃走方法を試みている以上、とっさの発砲が違法だとまでは言えないでしょう。

しかし、民事訴訟の時に、未必の殺意に関して認定したため、話が少しややこしくなったようだ。こういう案件で、本当に未必の殺意が認められるのか否か?・・・という法学的な争点がでてきた。

というわけで、今回の審理では、無罪の結論は決まっているが、どういう論理で無罪を言い渡すかが焦点になるということだと思う。

未必の殺意というのは難解な概念だけど、ざっくばらんに言うと、「これしたら死んじゃうかも知れないけど、それでもかまわない」という中途半端な殺意のことだ。そういう難しいことを、犯行の瞬間に、犯人が本当に考えたうえで実行しているのか、あるいは実は頭真っ白でほとんど何も考えていないんじゃないのか、興味深いところだけど、とりあえずそういうものがあるというふうに考えているわけだ。瞬間的には、「死ね!」と思ってたら完全な殺意だけど、「死んだってかまうもんか!」くらいだと未必ということかな~。素人にはやはり分かりにくい概念だ。未必は、絶対そうなるという確証がなくてやっているわけで、その程度問題が難しいと思う。確率がかなり低いことまで含めてしまうと、車を運転するだけで未必の殺意になってしまうなんてことになりかねない。だから、相当に蓋然性の高いもの(と認識していた場合)にしか認めない。

閑話休題。

・・・で、銃を抜いて発砲する以上は、未必の殺意があるというのは、ある意味では当たり前だと思う。「銃で撃っても絶対に死なないと思ってました」・・・なんてことはないだろう。激しく抵抗している相手に対して、急所でない部位を狙っても、その通りになるとは限らない。実際、至近距離から撃って、死亡させてるし。体に向けて発砲しておきながら殺意がみじんも無かったという論理を組み立てるのは、結構難しいと思う。

そりゃ、実際のところは頭真っ白で、殺意も何も分からないような状態だったかも知れないけど、そういう結論にもいろいろと問題があるような気がするので、たぶんそういう落としどころではないように思う。

未必の殺意があったとしても、業務上やむを得なかったので無罪・・・というあたりが、やっぱり普通の結論かな。「そもそも警官が拳銃の携帯及び発砲について、業務上の必要に応じて認められているということは、そのときには少なくとも未必の殺意まで認められているということだ」・・・というようなところまで踏み込むかどうか。そこまで踏み込まなくても、正当防衛だから無罪ということで全く問題ないような気もするので、わざわざ危険な見解を示す必要性はないけどね。

でも、「警官の職務上やむを得ない発砲は警官及び市民を守るための正当防衛だからOK」っていうだけの結論なら、わざわざもう一度審理する必要性が薄いようにも思う。訴える方も裁判所も徒労に近い。ということで、何らかの新しい見解が出るような予感もある。いずれにしても妙な話になってきたな~という感じ。

どうなるんでしょうかね。


タグ:時事
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Caudate Nucleus [夜話]

1月21日付でScienceに発表された論文

Wan, X. et al. (2011) The neural basis of intuitive best next-move generation in board game experts. Science, 331, 341-346.

を読みました。詳細は、Scienceのページ(英語)をご覧ください。

え、いきなり何?・・・と思った方も多いと思うのですが、これは、実は将棋のプロ棋士の脳の活動に関する論文。

プロ棋士がある局面で次の手を考えるとき、"第一感この一手"ということをよく言う。そして、その後具体的に読みを入れて間違っていないことを確認し、実際に指すのである。そしてまた、極めて多くの場合、第一感は最善手である。おそらく、アマチュアであっても、有段者になってくれば、少なくとも得意戦型ではこの感覚を共有し始めると思う。

では、この直感はいかなるところから表れるのか。具体的に読みを入れる前に、最善手が分かってしまうこの能力は一体何なのか?しかも、なぜその手が第一感として出てきたのかうまく説明できない。無意識下の処理なのだ。そして、それは、ほぼ一瞬で終わる。局面の把握が終了すると即座に次の一手の候補が出てくる。精確に測ることは難しいけれど、長くて数秒だろう。

字面だけ読むと、まるでオカルト超能力みたいな話だ。

そういうとき、脳はどうなっているのか?・・・というのは極めて興味深いことだ。

で、それをやってしまったのが、この論文。

研究内容は至ってシンプルで、プロ棋士、アマ強豪、弱いアマの3グループを用意し、MRIをかけながら将棋の局面の把握や詰め将棋を解かせるというようなことをして、脳の活動領域を調べたというもの。比較のために、中国将棋とか他のボードゲーム局面を見せたり、全く関係ない図面を見せたりしながら、脳内のどういう領域で差が出るかというのを調べて検討した。

主要な結論は、プロ棋士が次の一手を無意識下で考えている瞬間、大脳基底部の尾状核が活発に活動していることが分かったというものである。しかも活動の程度が強いほど、正解率が高いという傾向まで見られた。

では、尾状核って何をするところかというと、どうも普段の癖とか習慣とか単純刺激に対する応答とかそういうものを処理するときに使う領域らしい。確かに、これらは無意識の領域なので、無意識下から手が浮かんでくるという感覚とも符合する。

ただ、将棋の次の一手を思いつくと言うのは、単純刺激に対する応答ではない・・・と普通は思う。

では、なぜ次の一手を考えるときに使えるのか。論文では、大脳基底部の処理系が複数経路の候補があるゴール到達問題に向いていると書いてあったが、専門外なのでいまいち分かりませんでした(>_<)

しかし、次の一手を思いつくのは、単純刺激に対する応答というよりは、無意識にやっている癖とか習慣とかと近いもので、おそらくプロ棋士は日々の研鑽の結果、条件反射的に次の一手が出てくるようになってしまったのではないかということのようだ。

このあたりの考察は、まだまだ不確定な部分が多いので、今後の研究で深められていくべきところでしょう。今回の論文の成果は尾状核が重要だってことを明らかにしたことだと思う。

まあ、私が査読者だったら、「次の一手」問題と言いつつ詰将棋を使っていいのか?・・・というコメントをつけたと思います。普通の将棋と詰将棋は別物というのが、将棋界では常識だと思うので。たとえば、渡辺竜王と宮田六段を比べれば明らかで、詰将棋はその得意・不得意がプロ棋士の間でもかなり大きいし、それが必ずしも本将棋の強さと関係しているわけでもない(注:宮田六段は勝率一位賞を取ったこともあり本将棋が弱いというわけではないけど、少なくとも現時点でタイトルホルダーではない。しかし、詰め将棋選手権では圧倒的な実績を誇る。渡辺竜王の終盤力は決して弱いわけではないけれど、詰め将棋選手権には出場さえしたくないと言っている)。むしろ詰将棋と本将棋で、脳の働きがどう違うのかということについて、新しい論文を書いて欲しいくらいだとさえ思う。

まあ、そのへんの細かいことは、さておきつ・・・。

これって、その他のいわゆる「熟練者の勘」というのも同じではないかなと思う。そのへんも興味ある。たとえば、数式やグラフを見たときに、理系と文系で脳の反応はたぶん違うでしょうし、その分野の熟練度によっても全然違うのではないか・・・と想像します。

だとすると、もし、今よりも、もっとメカニズムの理解が進んで、尾状核の利用を促進するようなコツが分かるようになれば、学習方法に劇的な進歩が得られるのではないかと思うのです。たとえば、熟練技術者の能力を身につけるのにかかる年数を半分にできるとかいうことになれば、後継者問題とかがぐっと楽になるんじゃないかな~とかね。・・・そうだ。これが分かれば学生指導も楽になるかな(笑)


タグ:教育 将棋 科学
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銃と二元論 [夜話]

今年の初めにアリゾナ州で発生した銃乱射事件は、撃たれた議員もリハビリを開始する段階になり、また容疑者も起訴され一応の収束を見せつつある。

こういう事件が起こると、銃規制を巡る議論が遙か彼方の日本でも巻き起こったりするけど、どうもかみ合ってないことが多い。

思うに、銃規制を巡る考え方は根本的な思想の違いなのだと思う。

米国では、銃は普通の人が持っていても危ないものではないと考えている。なぜなら、普通は、銃を持っていても好んで人を殺そうと思ったりはしないもんだからである。銃が悪いのではなく、銃で人殺しをする奴が悪いということだ。つきつめると、銃はそれを持つに適格たる人物が持っているのはかまわないということである。そして多くの人は、当然ながら「自分は大丈夫」と思っている。また、適切に規制をすれば、銃を持つに適確な人物とそうでない人物を見分けることが可能であり、不的確な人物に銃が渡らないようにできるのだという思想もあるように思う。「この世の人間は二種類に分けられる。銃を持っても良い奴とそうでない奴だ。」・・・的な?

一方、銃規制派は、どう考えているか。実は、人間は普段おだやかで平和な性格であっても、追い詰められたりカッとなったりすると何をしでかすか分からない生き物である。リストラやワーキングプアで困窮したり、パワハラとかで心を病んだりなんてことは最近は珍しくないようだ。別にその人に何の落ち度が無くても生きるか死ぬかというところに追い詰められてしまう世の中である。そんなときに、たまたま銃を持っていたりしたら錯乱して撃ってしまうかも知れない。・・・と考える。でも銃を持っていなかったら、殺傷にまでは至らないことも多いだろう。ということは、銃は持っていないに越したことはない・・・と考えているように思われる。こちらでは、銃を持つに適格か否かは容易に見分けられないし、同一人物であっても時と場合に依ると考えているようだ。

ここでは、いずれの見解が優るか否かということを言いたいわけでは勿論無い。

ただ、上記の通りだとすると、銃規制派と銃支持派が意味のある議論をしたいなら、「人間とはどういう生き物か」、「実際の犯罪はどういう人がどういうときに起こしていることが多いか」ということに対する認識の違いが極めて大きいのだということを知っておかなくてはならないと言うことを意味している。そしてまた、そういう思想の違いについて、互いに一定の敬意を払う必要があるとも思う。互いにきちっと中立なデータを出し、銃と人間がどう向き合うべきか真摯に議論して欲しいものである。

個人的には、罵詈雑言入りの水掛け論の繰り返しは、うんざり。何も生まない。否、互いに傷を生む。そうではない建設的な議論を望む。

ところで、最近思いついたことで、関係ないかも知れないんだけど、剣道や弓道はあるのに銃道がない・・・ということが、日本人の銃に対する感覚を表しているのかも知れない。武器(飛び道具含む)を使うということに抵抗があるという以外に、銃に対する何か別の感覚があることを示唆しているのではないか。それが何かはよく分からないけれど。歴史?いえいえ、戦国時代から火縄銃使ってますからね。人類史的には比較的新しい武器ではあるものの歴史がないとまでは言えないと思う。ちなみに、実際には射撃競技は筋力はもちろん、精神修養も非常に重要で、道のつくスポーツたり得る資格は十分に備えているように思うのだけれど。う~ん、不思議だ。


タグ:思想 時事
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第37期女流名人戦第一局 [将棋]

里見香奈女流名人に、清水市代女流六段が挑戦している今期の女流名人戦。清水女流六段は、A級を全勝という圧倒的な成績で挑戦者に名乗りを上げてきた。一方、里見女流名人も今期勝率8割超と絶好調。両者とも充実しているので、名局シリーズになる予感。

里見女流名人は、中飛車を主力とする振り飛車党で、先手番だと相手の出方によって石田流もある。最近は、対抗型なら居飛車を持つこともあるようだ。研究熱心で、最新定跡にも明るく、序盤でいきなり悪くなることは少ない。また、終盤は、詰め将棋を日課にしているだけあって、非常に強い。ただし、中盤は若さ故の勇み足的なミスがでることもある。しかし、タイトルを取る頃から、冷静さと辛さを備えてきて、手が着けられない強さになりつつある。

清水女流六段は、現在無冠ながら、女流棋界に長く君臨してきた第一人者。女流では珍しい本格居飛車党で、最新定跡から昔ながらの将棋まで、幅広く指しこなす。攻守のバランスに優れ、スキがない。また、悪くなっても粘り強くて、逆転も多い。

第一局は里見女流名人の故郷、出雲で開幕。出雲のスター登場に、現地の盛り上がりは、すごいようですね。さて、どうなったでしょうか。

詳細は、中継ページをご覧ください。

振り駒の結果、先手は里見女流名人に。

後手が、二手目△8四歩だったので、先手は、中飛車を選択。清水女流六段は、男性棋士も頭をかかえるくらい対石田流は得意だったはずだけど、最近、里見女流名人の石田流に対しては分が良くない。そういうことを考えた上での△8四歩だったかもしれない。プロ全体で見ると、先手ゴキゲンよりは、石田流の方がくみしやすしと思う棋士の方が多いのか、△3四歩が多いようだ。

後手の陣形は、天守閣美濃。先手は銀冠。先手も角道を止めたし、丸山ワクチンでもないのに左美濃というのは、最近では、比較的珍しい形だと思う。

30手目△3一角に、▲5九飛が大胆な一手。8筋の交換はどうぞという姿勢。善悪は別として、現代風の指し回しだ。当然、後手は行かせていただきますっとばかりに、8筋を交換。角交換しながら飛車先の歩を切れて、居飛車が調子良さそうだけど、ここから二枚腰なのが中飛車。玉型の差もあるので、このあたりはまだ互角か。

ここから、7筋の歩をのばしていって、さらに△9四角と打ったのが面白い構想。後手は、この角が働かないとまずいわけだけど、一仕事してくれれば、優勢になりそう。一つの勝負手。

49手目▲8五歩と飛車を捕獲に行ったのは、強気。当然、後手は暴れてくるわけで、受けに自身がないと指せない。9四の角をボケさせるために、左辺は丸く収めておいて中央から右辺で勝負と言う構想も考えられたところで、こちらは大人の考えそうな手。若き名人には似合わないか。

とはいえ、結果的には、この後、暴れ回る後手に少し手を焼く展開になった。62手目△8六飛のあたりでは、後手を持ってみたい感じ。さらに、66手目△7七歩が軽手で、先手は軽くしびれた形。

しかし、先手も中央に戦力を集中して逆転のチャンスを狙う。玉型も差があるので、離されずにしっかりついていけばワンチャンスはありそう。

82手目△3三桂は、攻めを催促した手だけど、これはどうだったか。△5五桂とかのほうが良かったと思う。▲5六銀なら後手玉が安全になるし、△5七金とかで一手勝てるでしょう。本譜は、先手の角を捌かせてしまったので、後手が急に苦しくなってしまった。

89手目▲2五歩が入る展開になって、先手優勢がはっきりしてきた。天守閣美濃は、豆腐の角にぶつけても危ないくらい玉頭が弱い(^^;)ここで玉頭戦になっては、後手は9四の角が泣いている。

101手目▲2六銀打が、出雲のイナズマの面目躍如の一手。玉頭戦は惜しまず厚みを作らなくてはいけない。後手玉は、駒を埋めるスペースとヒマがなく、サンドバッグ状態だ。

110手目△8二角は、王手龍だけど、▲6二飛で受かっている。9四の角と飛車が交換になれば、寄りが戻るだろうけど、手持ちの角との交換では、差は縮まらない。

115手目▲6五龍は冷静。角を取って一気に寄せる手もありそうだけど、もし遊んでいる角を相手にして負けたら、悔しくて眠れなくなるので、やめておいたほうがよいと思う。

116手目△4九銀から迫るも、銀冠は固い。137手目▲6九龍で後手の攻めは完全に切れてしまった。

後手は投げきれず、玉頭でアヤを求めて少し動いたが、里見女流名人は鮮やかに必至をかけて収束させた。

振り返ってみると、中盤、角を打ち合ったあたりでは少し先手を持ってみたい感じだったけど、先手が飛車を捕獲に行ったのが少しやりすぎで、後手がうまく立ち回って優勢を築いた。先手も中央に戦力を集中して、離されずについていった。終盤、先手の角が捌けてしまったのが後手の誤算で、玉頭戦が始まってみると、駒の働きの差+玉頭の陣形差で、一気に先手が優勢~勝勢になった。その後は、最短ではなかったかもしれないけど、追いすがってくる後手を冷静に降りきって、里見女流名人が勝ちきった。

これで、里見女流名人にとっては、防衛に向けて幸先の良い一勝。挑戦者は、好局を落としての一敗は少し痛かったか。

次局は、里見女流名人のゴキゲン中飛車に、挑戦者がどんな対策を見せるかというところが、まず見所でしょうか。清水女流六段は、7八金型が多い印象だけど、どうでしょうか。

そうそう、次局は、野田の関根名人記念館ですね。近いから、大盤解説に行けたら行きたいな~。でも、たぶん月末締め切りの仕事があって忙しいから無理っぽい(>_<)

関根名人記念館の住所の「東宝珠花」って読めますか?


・・・「ヒガシホウシュバナ」です。優雅な地名でしょ?いえ、それだけです。オチはありません(^^;)


第60期王将戦第二局(二日目) [将棋]

久保王将に豊島六段が挑戦している今期の王将戦の第二局。久保王将の意表の中飛車登板に、豊島六段が相振りで応じた本局。中盤の入口で封じ手でした。

さて、本日はどうなったでしょうか。詳細は中継ページをご覧ください。

封じ手は、▲7七角でした。予想は、外れました。これは、「中飛車なんだから▲5四歩と行きたいです」ということかな。もし後手の飛車の横利きが通った場合に、△6四飛、▲6六歩、△7四飛という順があって、そのとき7六の歩が守りにくくなるのでどうかな~という気もしましたが、▲5四歩と行くならば、そういう展開を気にすることにはなりにくいと言われればそうかもしれない。なるほどね。

後手は、ゆっくりしていると作戦負けになるので、△1六歩~開戦。桂香総交換の後、じっと▲3七銀引(51手目)はタイトルホルダーの貫禄か。しかし、54手目△2四飛まで収まってみると、一応攻めの桂香と守りの桂香の交換をして、後手も不満はなさそう。封じ手の局面では、やや先手持ちの形勢だと思われたけど、こうなってみると、互角っぽい。ぎりぎりバランスが取れている感じだ。先手陣は、玉頭がスースーするので、▲1七歩と蓋をしたい。

・・・と思ったら、▲7四歩。攻撃的だね。さらに、57手目▲6六桂は見慣れない桂打ち。形は8六からだと思うけど、5筋方面へも利いている方がいいとの判断なのかな。こんな桂打ちもあり得るんだね(._.) φ メモメモ

再度の▲7五歩(59手目)に、△3五歩が堂々とした手。さらに64手目△6四歩は、大山十五世名人風味。豊島六段って受け将棋だっけ?

後手に、がっちり受け止められてしまったので、先手は▲1七歩と雨漏りする屋根を修繕。固い。お互いになかなか攻めの糸口が難しくなってきた。長い中盤戦が続きそう。

・・・かと思ったら、久保王将は、69手目▲7三歩成から手を作りに行く。それは・・・ひと目、細いんだけど大丈夫かな。先手は、飛車を7筋に回り、さらに飛車取り放置で▲3五角と目一杯暴れたけど、冷静に△1四飛(78手目)とかわされておいて、果たしてどこまででかしたのかは分からない。豊島六段はうまく局面のバランスを保っている感じだ。結局、一気の攻撃はあきらめ、▲7五歩(79手目)と局面を落ち着かせることになった。対して、△2一香は好手。後手陣は、妙にスキがない。指す手が難しそうな局面で、よくこういう味の良い手が見えるもんだね。挑戦者の力量を示した一手。

これで、後手優勢になったかと思われたけど、ここからがとんでもなく長い大熱戦。おそらく、88手目△7四同桂が楽観で、玉をかわした方が良かったか。しかし、95手目▲7七桂が行儀が良すぎたかもしれない。△6四金で後手陣に寄りつけなくなってしまった。▲7三桂のようなゴリゴリした手の方が効果的だったかも。

・・・と思って見ていたら、ここで、▲1三桂(97手目)が、驚愕の一手。そっちか~。ここでB面攻撃とは発想の次元が違う!

後手はじっと香車を逃げて、△5六歩(102手目)で角道を通す。角の捌きにめどがついたことで、やはり後手が少し指しやすいか。104手目△5七桂で、4九の金に当たってきてしまった。結果的に4九に金を置いておいたのが、ここへ来て祟ってしまった。さらに、手順に1三の桂馬まで取られてしまった。まだまだ銀桂交換の駒得とはいえ、こういうのは、指していると気持ち的に悲しくなってくる。

115手目▲9七角は最後のお願いか・・・と思われたけど、指されてみるとむしろ後手大変か。う~ん。大熱戦だ。

先手は、飛車を切り飛ばして、角を捌き、コビン攻めを狙う。後手は先手の玉頭に味付けしてから134手目△5五角と出て、その筋を防ぐ。そこで、▲4二角成!・・・ふ~ん。こういうところは4二へ成るんですね。慌てて3一は良くないね、確かに。141手目▲7五銀に、△5五角とかわしたところでは、勢い△4九桂成から攻め合いたくなりそうなとこだったけど、▲6四馬と引きつけられると、後手玉が危なかったのだろうか。先手も、備えられてしまったので、香車をパクっとしながら、飛車取り。これは話がうまい。先手良しがはっきりしてきたか。

後手は、飛車を逃げている場合ではないので、△4九桂成(144手目)から最後の攻撃。これを切らせれば、先手勝ち。・・・というところで、▲同金が敗着。△同竜、▲3九金打で粘れそうだけど、△1九金が次の一手問題みたいな好手の寄せ。すでに後手勝勢ですが、157手目▲1八香は参考にしたい粘り方。一瞬詰めろが来ない形を作った。しかし全局的には、後手玉に詰めろがかからないので、大ポカが無い限り逆転はなさそう。結果、本譜は見事に後手が必至をかけて勝ち。170手を超える熱戦に終止符。

本局は、序盤から相振りになり、玉型の差や大駒の働きの差などで、先手が作戦勝ち模様になったものの、後手が端攻めから、うまくバランスを取りつつ、長い中盤戦に突入。そこで、先手は果敢に攻め込んだものの少し細く、後手が少し指しやすくなった。しかし、端に角を出たのが好手で再び形勢は逆転。先手がはっきり優勢になったと思う。ところが、最後に来て、先手に受けの失着があり、それを逃さず食らいついた後手が勝ちきった。・・・とまあ、二転三転の大熱戦でした。

また、本局は、結果的に敗れてしまったものの久保王将の鬼手が印象に残った将棋でした。57手目▲6六桂、77手目▲3五角、97手目▲1三桂。また、115手目▲9七角は、優勢をたぐり寄せる名角だった。そうそう、挑戦者の方では、64手目△6四歩と80手目△2一香が印象に残る好手でした。

あと個人的には、加藤九段のコウノトリ打ち上げネタに、パソコンの前で思わず受けてしまいました(^_^;)

さて、これで一勝一敗の振り出し。第一局は完敗だったのが、第二局は混戦の上勝利・・・と来れば、流れは挑戦者にありそうですが、それを久保王将が力でねじ伏せることができるか。豊島六段は、棋譜を見る限り、だいぶ固さが取れてきた感じですね。また、挑戦者として、一勝できたことで、気分的にはかなり楽になったでしょう。次戦は、面白い勝負になりそうです。



ところで、明日は、女流名人戦。こちらも注目~。


タグ:将棋 王将戦

第60期王将戦第二局(一日目) [将棋]

久保王将に、豊島六段が挑戦している王将戦の第二局が始まりました。第一局は、久保王将の3二銀型ゴキゲン中飛車に豊島六段が新工夫の5八飛を見せたものの結果にはつながらず、久保王将が快勝。本局は、先手番の久保王将の石田流に豊島六段がどんな対策を見せるかがポイント・・・と思っていたのですが、実際には・・・(^_^;)

詳細は、中継ページをご覧ください。

先手久保王将の初手は、なんと▲5六歩!石田流ではありませんでした。▲5六歩は、中飛車を明示した手。くだらないことだけど、かつて「世にも奇妙な物語」というテレビ番組に、"あらゆる棋譜を暗記して対戦相手を分析できる男"vs"大名人"(?)というエピソードがあって、"大名人"の初手が実戦例の少ない▲5六歩だったため、"あらゆる棋譜を暗記して対戦相手を分析できる男"のほうが、次の有効な一手を導き出せず、いきなり二手目で投了してしまったというのがあった。放映当時は、初手▲5六歩は縁台将棋ならともかく、プロの将棋ではほとんど現れたことがなかった。もちろん、中飛車全盛の現在では、初手▲5六歩はプロの中でも十分あり得る手として認識されている。

とはいえ、先手番で角道を通した中飛車を目指す場合には、▲7六歩、△3四歩、▲1六歩、△8四歩、▲5六歩という手順が普通。ただし、手順中、後手が△8四歩と突いてくれないと、角交換~△5七角の馬製造の手順があるため、▲5六歩と突けない。よって、後手は△8四歩を保留して中飛車を拒否することも出来る。というわけで、絶対に中飛車にしたいときには、初手▲5六歩とする。ただし、これは中飛車で行きますよと態度を明らかにしすぎているため、別の対策がある。

それは、相振り飛車。中飛車は相振りには相性が悪いというのが通説。生粋居飛車党の渡辺竜王でさえ三間飛車にしたりして勝っており、相振りは作戦としてかなり有力視されている。単純化して言ってしまえば、中飛車は玉頭を攻めてない、左側の金銀の使い方が面倒、相手の攻めが結構飛車に当たってくることが多いなどが原因。詳しくは鈴木八段の本などに書かれている。

・・・というような背景があり、本局は相振り飛車になった。しかし、現在となってはここまでのお話は"常識"の範疇なわけで、当然久保王将は、その"常識(初手▲5六歩は相振りにされて不利)"を打ち破るための研究手を持って来ているのでしょう。本局は、第一局とは逆に、挑戦者がオーソドックスに構え、Defending Championがどこかで新手を出すという流れになりそうか。

さて、相振り飛車と決まれば、しばらくはオーソドックスな進行。そうそう、かつては中飛車には三間飛車が普通だったけど、最近は欲張って向かい飛車にするということのようです。陣形は先手は穴熊、後手は美濃囲いを選択。ちなみに、20手目の解説に関連して、美濃囲いの命名の由来は、「昔、美濃地方出身の強豪棋士が多用して高勝率を上げたため」だとも言われている。「岐阜城が、山やら川やらの起伏に富んだ地形のため難攻不落で、その地形を思い起こさせるから」というのは、後世の創作の可能性が高いと見られている。

33手目、▲3九金寄を保留して、▲5五歩は少し驚いた。何はともあれ金寄だと思われたところ。とはいえ、相振り飛車で、5筋の位は見た目以上に大きいことが多いような気がする。形は違うけど、里見女流三冠は、すぐ5筋の位を取りに行くような指し方が多く、もちろん勝率も高い。

対して、後手は、△1三桂!!これは、収まりがつかなくなってきた。風雲急を告げる。しかし、後手に有効な攻め筋があるかと言われると、意外に難しそうだ。すぐに端に殺到してもなかなか難しい。仮に4四に角がいたとしてどうか?・・・という感じだ。でも、桂馬は跳ねてしまうと戻れないので、おそらく成算があってのことだと思う。

先手は、「全然怖くないよ」とばかりに▲4六銀~▲3六歩~▲9六歩。・・・えっと(^_^;)手待ちするとしても、なぜに、▲3九金寄を保留するの?端から攻めて来られたときに、3九に空間があった方が玉が広いと言うことなのかな。あるいは、5筋の歩を切って、▲5九歩と打とうとしているのか・・・。底歩が打てれば、そのほうが堅い可能性もあるのか。

後手も行くぞ行くぞと見せかけて、玉が入城し、飛車を浮き直して間合いを計っている。

というところで、封じ手。いいところで、明日をお楽しみに~というやつですね。

最近全然当たりませんが、一応封じ手予想を。

第一感は、▲3五歩。△同歩、▲同銀は旨すぎでしょうが、たとえば△4五歩、▲同銀、△3五歩の筋には、▲3四歩と抑えられます。しかし、▲3五歩は放置されたときに、次の▲3四歩の取り込みがあんまり良い手ではないので、△4三銀くらいでも困るかも。と、躊躇します。第二感(笑)は、▲5四歩。これは、お互いに色々と技がかかりそうで怖いけど、捌きのアーティストっぽいかな~なんて。と、なんだかんだ考えたあげく、自分が指すなら▲6六角です。△4五歩、▲同銀、△3五歩の筋にも備えつつ、将来の端攻めを見た好位置。自玉方面への利きもあるので、かなり味が良い。後手は今がほぼ最善型で、これ以上有効な手がほとんどないように見えます。にも関わらず、右辺を突破することは難しい。対して、先手には、▲9五歩や▲7七桂、▲9八(or七)香など左辺に指したい手が一杯。おそらく▲6六角~▲9五歩~▲8五桂となってくると、それだけで、左辺は手になってしまうし、分かっていても防ぎ方が難しい。というわけで、ここは大技は不要で、穏やかに進めて先手作戦勝ちという大局観です。


タグ:将棋 王将戦

0.1秒の世界 [夜話]

先日の新幹線トラブルの全容が徐々に明らかになってきましたね。

何でも、一分間に600件以上のダイヤ変更があると、画面上の表示が乱れてしまう仕様だったらしく、それを知らなかった担当者がシステム不具合の恐れがあると判断して全列車を停止したということだったらしい。

それにしても一分間に600件以上って・・・。単純計算だと0.1秒に一件ダイヤ修正を命じることになるけど、それはさすがに人間業とは思えないので、一つ変更すると関連するダイヤも自動変更されるってことなんだろうね。それにしても、影響範囲がそれだけ多いってことで、恐ろしい過密ダイヤだ。

確かに、東海道新幹線とか、まるで山手線か何かのようにどんどんとホームに入ってくるしね。

別に庇う訳じゃないけど、トラブルがないほうが奇跡に近いような。そりゃ一分間に600ってほとんど無限だと思うよね。それが射程に入るなんて。・・・今回の件で、逆に新幹線がいかにすさまじい次元で運行されてたのかってことを認識させられた。システムを改善してこなかったことを叩かれてるみたいだけど、安易なシステム更新はむしろバグの元。ロバストなシステムがあれば、無理には更新しないほうが良い。そういうわけで、技術者的には、ちょっと同情してしまうね。

まあ、ミスはよくないんだけど。


タグ:時事
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